移住までの道のり

【カナダ】持病や発達障害があっても移住できるの?Medical inadmissibilityを解説

カナダに永住申請するのに必要な条件の一つが健康診断

申請前に、移民局に指定された病院 (panel physician)で健康診断を受けなければなりません。

通常、健康上に問題のない人はなんの問題もなくカナダ移民局へ健康診断の結果が送られます。

しかし、なんらかの状況によりinadmissible (不適格)と判断された場合、ビザが拒否される可能性があります。

 

持病があったら永住権拒否されるの?

子供に発達障害がある場合は?

カナダ移民局はどういった基準で受け入れ・拒否しているの?

 

この記事では、カナダ永住権申請において健康診断に引っかかる条件(Medical inadmissibility)について解説します。

※この記事で解説する Medical inadmissibility はカナダへの Economic Immigration (スキルドワーカー等)に関するものです。

Family Sponsorship (国際結婚や両親呼び寄せ等の家族ビザ)は該当しません。

※この情報は2020年2月時点での最新情報です。

カナダ移民関係のルールは頻繁に更新されます。また、この記事はあくまで一般人である私個人の経験と知識を基に書いています。細心の注意を払っていますが、ミスや情報が古くなっている可能性もあります。

最新の移住情報・ビザ情報は必ずカナダ移民局の公式サイトを確認してください!

Medical inadmissibilityって?

Medical inadmissibility(メディカル・インアドミッシビリティー)とは、簡単に言うと健康診断の不適格基準

健康面に問題がある人にはビザは出せませんよ、ということ。

ぽこたに
ぽこたに
でも…「健康上の問題」って、一体なにが基準になっているんだろう?

 

ビザ用健康診断ではただ漠然と「健康かどうか」だけではなく、この3つの基準に当てはまるかチェックしています。

  1. 公衆衛生への危険性がないか
  2. 公共への危険性がないか
  3. 国の医療費に負担をかけないか

詳しく説明します。

①公衆衛生に危険を及ぼす可能性がある

まず、公衆衛生への危険性のある疾患を持っている場合、不適格と判断されます。

特に感染症のこと。

例えば

  • 結核
  • 梅毒

など。

これはビザの指定医(panel physician)だけではなく、第三機関による検査も行って判定されます。

②公共への危険を及ぼす可能性がある

感染症だけではなく、公共(public)への危険性がある疾患も inadmissible と判断されます。

例えば

  • 突然の意識障害
  • 予測できない行動、暴力など

ポイントは「危険性」があるかどうか。

③国の医療費に負担をかけないか

最後に重要なのが国の医療費に負担をかけない疾患かどうか。

分かりやすくいうと

「莫大な医療費かかるってはじめから分かってる人は受け入れられない」

ということ。

ぽこたに
ぽこたに
確かに、高額な医療費がかかる移民ばかり増えたら困るね…。

ではこの医療費の基準はいくらなのでしょう?

2019 cost threshold (under the temporary public policy)

$102,585 over 5 years (or $20,517 per year)

引用元:Medical inadmissibility |Government of Canada

 

つまり、2019年時点の基準金額は

5年間で$102,585(約846万円)

もしくは

年間$20,517(約169万円)

 

これを超える医療費がかかると分かっている場合、inadmissible と判断され、ビザが下りません。

※この金額は毎年見直され、Canadian の平均的な年間医療費に合わせて変動します。

2018年6月に医療費の基準が緩和!

実はこの医療費の基準、2018年6月に大幅に緩和された結果、今の金額になりました。

2018年6月に変更された点は2つ。

  1. 医療費の金額基準が緩和
  2. 社会福祉サービスが医療費にカウントされなくなった

この2点を説明します。

医療費負担の金額基準が緩和、3倍に!

まず、2018年6月の新基準によって医療費負担の基準金額がなんとそれまでの3倍に緩和されました。

それ以前の基準金額は、平均的な Canadian の年間医療費と同等の金額でした。

つまり、平均的な Canadian に比べ、少しでも多く医療費がかかる疾患の場合は不適格となります。

それが、新しい基準では

Canadian の平均医療費 ×3

が基準に引き上げられました。

ぽこたに
ぽこたに
3倍なら安心できそう。

 

一般的な Canadianに比べ3倍の医療費がかかる移民も受け入れますよ、ということ。

これによって、それまで健康面を理由に断られていた人にも移住するチャンスが与えられることになりました。

福祉サービスにかかる医療費が除外に!

もう一つの重要な変更点は福祉サービスにかかる医療費が除外になったこと。

福祉サービスとは、例えば

  • 療育
  • セラピー
  • 言語リハビリテーション
  • 学習支援

など。

これらにかかる費用は、基準金額にカウントされなくなりました。

つまり、例えば今まで発達障害のサポート等ににかかる費用が理由で移住を断られていた人にも、ビザが下りやすくなったということ。

なぜ基準が緩和されたの?

では、なぜ健康診断の基準が緩和されたのでしょうか?

簡単に言うと、

  • 極端な受け入れ拒否は疾患や障害のある人の差別になる
  • 厳しすぎる基準はカナダが目指す inclusion (多様性の受け入れ)に反する
  • サポートにかかる費用は「コスト」ではなく「投資」であると考えられるべき

ということ。

ぽこたに
ぽこたに
この辺りの考え方はとてもカナダらしいなと思います。

 

もちろん、はじめからカナダがこういう方針だったわけではありません。

以前は、この medical inadmissibility が原因で家族がバラバラになったり、長年住んでいる移民にも永住権が出ないなどの問題がありました。

York University prof denied permanent residency over son’s Down syndrome

トロント在住の大学教授(コスタリカ出身)が家族とともに永住権を申請したところ、ダウン症の息子(7歳)を理由に拒否。

このように、カナダで実際に生活し、経済や教育等の発展に貢献しているにも関わらず、家族の健康状態を理由に永住権を出さないのは不当であると問題になったのです。

その結果、ついに2018年に基準が緩和され、疾患や障害があっても不当に拒否されず、安心してカナダに移住できる仕組みになりました。

病気や障害によっては問題なくカナダに移住できる

このように、カナダ移民局は移民の健康状態に明確な基準を出しています。

なので、その基準内であれば永住権は問題なく発行されます。

 

実際、わが家の娘は先天性の心疾患軽度の発達障害持ちで、心疾患の方は難病指定されています。

幸いにも現在は手術予定なし・投薬なしという状況なので、それを正直に申告しました。

その結果、

  1. 公衆衛生上の危険性がない
  2. 公共への危険性がない
  3. 年間医療費の基準金額内

①~③すべてをクリアしていると判断され、永住申請が通ったのだと思います。

Medical inadmissibility まとめ

まとめると、

  • 持病や障害があってもカナダに移住できる
  • ただし、3つの条件をクリアしている場合のみ

 

3つの条件とは

  1. 感染症などによる公衆衛生への危険性がない
  2. 暴力や意識喪失などによる公共への危険性がない
  3. 予想される医療費が基準金額を超えない

 

このように、カナダの移民条件が明確に公表されていて、健康状態に関するルールも事前に確認することができます。

そして、繰り返しになりますが、この健康診断の条件は家族ビザ(国際結婚等の Family sponsorship)には適用されません(←こっちのビザはもっと条件が緩いです!)

カナダへ移住を考えているならぜひ参考にしてみてくださいね。